久方ぶりの更新であります。
さて、建築模型において、螺旋階段はとても製作が難しいものです。
ご覧のとおり、直線と曲線で構成されていて、パーツの形状出し、接着位置の割り出し、接着方法など考えなければならないことがいっぱいあって、もし注文が来たら途方に暮れてしまいます。
ところが、恐れていた注文が来てしまいました。
建築模型の仕事を始めて8年になりますが、螺旋階段の作り方は知りません。
さーて、困ったぞ。
困ったときのネット頼み。
「螺旋階段 作り方」で検索すると、You tubeで3件ほどヒットしました。
とても参考になりました。
参考にはなりましたが、そのまま真似するわけにはいきませんでした。
紹介されていた方法はスケールが1/20と結構大きく、1/50では接着面積が小さくて工作しづらく、また破損しやすそうでした。
それでも参考にはなったので、その方法を踏まえつつ、手探りで製作を進めます。
まずは、クライアント様から頂いた図面から、螺旋階段の平面と立面部分だけ抜き出して、1/50でプリントアウトします。
平面図が4つ印刷してありますが、これを切り抜いて踏み板を作る型紙とします。
4つあるのは、失敗したときの予備です。
支柱は、タミヤの2ミリのプラ丸棒を使います。
図面の指定では支柱の直径は75ミリなので、1/50だと1.5ミリになりますが、細すぎて作業がしづらいので、2ミリでいきます。
この支柱に扇形の踏み板を螺旋状にグルリと貼るのですが、問題は踏み板を貼る位置と固定方法です。
接着面積がほとんど無いに等しいので、接着しても自重で垂れ下がったり、すぐ取れてしまいます。また、等間隔にきれいに接着しなくてはなりません。
考えた末、支柱に金属線の芯を植えることにしました。
最初に、芯を植える位置をマーキングします。
1周につき12枚の踏み板を貼るので、360÷12=30で、1枚の踏み板の中心角は30度です。
まず、プラ棒の断面に4等分した十字線を、シャープペンシルで描き込みます。
マークは目測でするしかありません。
時計の文字盤になぞらえて、12時の位置を1段目として、2時、3時と順番にマークしていくと、少しずつズレていき、きちんと12等分するのは難しいです。
そこで、1段目の高さを12時にマークしたら、プラ棒の断面の十字線を参考に180度反対の6時の位置に6段目の高さをマークします。
それぞれの段の高さは、プラ棒を図面に合わせて置いて目測で決めていきます。
次に、12時と6時のマークの中間、3時と9時の位置に十字線を参考にして3段目と9段目の高さをマークします。
そして、目測で12時と3時の間を3等分した位置に、2段目、3段目をマークします。
何しろ目測なので、少々のズレは仕方ありませんが、こうすればズレは最小限に出来ます。
今回の踏み板の段数は14段なので、1周したら、あと2段プラスします。
シャープペンシルでマークした点に、ピンバイスで0.4ミリの穴を開けます。
建築模型でピンバイスを使うことはほぼ無いので、ピンバイスって何?という方もいらっしゃるかもしれません。
プラモデルを作っている方ならたいてい持っている、手回し式の小型のドリルのことです。
模型専門店なら置いてありますし、アマゾンなんかでも入手できます。
ドリルはいろんな太さがありますが、0.4ミリのような細い物は折れやすいので、初めて使う方は、プラバンなどで穴を開ける練習をすると良いと思います。
棒状の材料に穴を開けるときは転がりやすいので、あらかじめ穴を開ける点にデザインナイフで小さな傷を付けておくと、ドリルの先端がズレにくくなります。
また、反対側にドリルが突き抜けないよう気をつけます。
開けた穴に0.4ミリの洋白線を瞬間接着剤を付けて差し込み、3ミリほど残してニッパーでカットします。
たまたま洋白線を使いましたが、真鍮線でも構いません。
洋白線も真鍮線も、模型専門店やアマゾンで入手できます。
芯を取り付けるときは、常に断面の十字線を基準にして、それぞれが30度の角度を付けて放射状になるように気をつけます。
角度がおかしかったらペンチで曲げてやれば簡単に直せますが、あまり神経質にならなくても大丈夫です。
こうして14本の洋白線を取り付けが終わりました。
おおっ!きれいに螺旋状になってるじゃありませんか。
ここまで来れば、螺旋階段の難しい部分の半分以上はクリアしたも同然です。
では、今日はここまで。
次回、踏み板を取り付けていきます。
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